こんにちは。
銀行を5年で辞めた元銀行員のきたしょー(@KitamuraShohei)です。
銀行員時代の先輩と上司の話。
先輩
上司
先輩
上司
このやり取りを聞いてどう思いますか?
当時のぼくは「有給休暇を好きなときに取れないのはいまどき古臭すぎる」と素直に思いました。
銀行って本当に昔ながらの労働環境で「有給休暇を取得する=周りに迷惑を掛ける」という風潮があるんですよね。
なので、労働者の権利である有給休暇を取得するだけでも引け目を感じてしまうんです。
有給休暇は労働者の権利だから取れるもんなら取りたい。
だけど、法律が絡んでいてよく分からないし、気軽に有給休暇を取得できる雰囲気でもないから有給取得はもう諦めている…。
本記事では、そんなあなたのために有給休暇の周辺知識と冒頭の銀行員時代の先輩と上司のケースについてぼくなりの見解をお伝えします。
「毎期有給休暇を使わずに来期に繰り越しているけど、本当に銀行は有給休暇が取れないのかな?」と疑問に思っている銀行員の方はぜひ続きを読んでみてください。
銀行は有給休暇が取れない?の前に有給休暇の制度概要について
1:そもそも有給休暇とは?
まずは有給休暇の大前提となる制度から確認していきましょう。
有給休暇とは法律で認められた労働者の権利です。
年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)とは、労働基準法第39条で認められた権利であり、これを行使することで賃金が支払われる休暇を取得することができます。
2:有給休暇が付与される条件
有給休暇は正社員やパート、アルバイトなどの労働形態に関係なく、以下の条件を満たせば付与されます。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。
〜有給休暇が付与される労働者の条件〜
- 雇入れの日から 6か月継続勤務
- 全労働日の 8割以上出勤
引用:厚生労働省 | 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
会社に6ヶ月以上継続勤務して、うち8割以上出勤していれば有給休暇が付与されるんですね。
ちなみに、有給休暇は入社して6ヶ月目に10日間付与されます。
つまり、銀行に半年以上勤めている銀行員はすでに有給休暇を取得できる権利があるってことなんですよ。
詳しくは年次有給休暇とは|5分でわかる基本概要まとめに記載してあります。
3:有給休暇の取得は労働者の権利
会社は条件を満たす労働者に有給休暇を与えなければなりません。
「与えることができる」ではなく「与えなければならない」です!
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
4:会社には時季変更権がある
会社は有給休暇の取得をずらすように労働者に求めることができます。
有給休暇は基本的に、労働者が請求した日に利用することができます。ただし、会社は繁忙期などに労働者に休まれると困ってしまう日に関しては、有給休暇の取得をずらすように労働者に求めることができます。
労働基準法にも明記してあります。
第三十九条○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
結論:上司は部下の有給休暇の日程を変更するように求めることができる
つまり、「この日に有給休暇を取りたいです!」という部下に対して、上司は「その日は仕事が忙しくなるから別の日に変えてくれ!」と言える権利があるってこと!!!
冒頭のぼくの銀行員時代の先輩と上司のやり取りについては、月末が忙しければ、上司は先輩が月末に有給休暇を取得するのを変更させることができるってことです。
注意して欲しいのは、「月末が忙しければ」というところ。
月末が忙しくないと上司が判断すれば、月末でも有給休暇を取得することができます。
いまあなたが働いている銀行でもこのようなケースが実際にあると思いますので、参考にしてもらえれると嬉しいです。
銀行は連続休暇以外の有給休暇がほとんど取れないのが現実
本記事でご紹介したぼくの銀行員時代の先輩が取得しようとしていた有給休暇とは2日間連続の休暇のことです。
ほとんどの銀行には5日間連続の連続休暇、2日間連続の休暇、半日単位で取得できる2日間の休暇などの休暇があります。
銀行の休暇の中でも連続休暇は不正防止のため金融庁から取得するように指導されているので、ほとんどの銀行員は年に1回だけ前後の土日を含めて合計9日間の休暇を取っていると思います。
連続休暇は海外旅行に行って現実逃避をするのが銀行員のお決まりパターンですよね。
連続休暇や2日間連続の休暇を取得するように推奨している銀行が多いのですが、それら以外の有給休暇はほぼ取得できないのが現状です。
ここで言う有給休暇とは「入社6ヶ月目で付与される10日間の有給休暇」のような継続勤務年数に応じて付与される有給休暇のこと。
ぼくは銀行員時代、上司に「連続休暇以外の有給休暇は使えるんですか?」と聞いたら、「有給休暇はインフルエンザで急に欠勤になったときのためにとっておく休みだ!」と言われました…。
ん〜、それはちょっと違いますよね。
ぼくは継続勤務年数に応じて付与される有給休暇を消化できたのは銀行を辞める前の数日間だけでした。
なので、ほとんどの銀行員が継続勤務年数に応じて付与される有給休暇は取得できていないはずです。
他の会社に勤めている友達は「会社を辞める1ヶ月前は残っていた有給休暇を全部使って丸々1ヶ月休んだ」と言ってたのに…。
この話は銀行を辞めたあとに友達から聞いたので「どうせなら図々しく有給休暇を全部使っておけばよかった」と本当に後悔しています。
有給休暇は労働者の権利なので、銀行が忙しくなければ、本当は休みたいときに休んでいいんですよね。
「有給休暇を取得する=周りに迷惑を掛ける」という銀行の悪しき風潮
銀行で休暇を取得するときって、「明日から2日間お休みをいただきます。お忙しい中ですが、どうぞよろしくお願いします!」と前日の終礼で挨拶する風習があります。
その他にも、休暇明けに支店や部署にお土産を買って行かないといけないルールもあるんです。
ていうか、あなたの銀行にも同じようなルールがあるはずです。
たった1日しか休んでないのに、しかもずっと家でゴロゴロしていたのに、支店にお土産を買わないといけないという理由だけでわざわざ外出してお土産を買いに行くこともあるんですよ!!!
いやいやいやいや、普通におかしくないですか?
たしかに、休暇中に自分の仕事を他の人にやってもらうから申し訳ないという気持ちがあるのは相手を思いやっていて素晴らしいと思います。
でもですよ、正直重いんですよね。
「すみません!お忙しい中ですが、明日からお休みをいただきます!業務の引き継ぎの件、本当に申し訳ないです〜!(ペコペコ)」と申し訳なく休むのは時代錯誤な感じがしてなりません。
いまの若者は「明日から休みなんでよろしくお願いしますね〜」みたいな感じでもっと気楽に休みたいんですよ。
銀行には「有給休暇を取得する=周りに迷惑を掛ける」という悪しき風潮があるので、本来楽しいはずの休暇ですら苦痛に感じてしまう銀行員も多いですよね。
特に1年目の銀行員は、休む前も「忙しいのに自分だけ休んで申し訳ない」と休みにくいし、休み中も「自分のせいで迷惑掛けたらどうしよう」と不安だし、休み明けも「仕事に行きたくない」と嫌な気持ちになります。
ただでさえ仕事がきついのに、休むことにも精神的に消耗していてはもはやなんのための休みか分かりません。
もちろん休暇を取得する前の引き継ぎなど最低限のことはやってから休むべきです。
ですが、銀行は労働者の権利である有給休暇を取得する行為に対して周囲への申し訳なさが異常なんですよ。
「休みを取ると周りに迷惑を掛けるから申し訳ない」とみんなが思えば思うほど、休みが取りにくい雰囲気になってしまいます。
「自分の仕事を他の人にやってもらって申し訳ない」という謙虚な気持ちは大事ですが、過剰な謙虚さはいりません。
休むときは「明日から旅行に行ってきます〜!」からの「自分たちの分まで旅行楽しんでこいよ〜!」くらいのノリでいいんですよ。
銀行員は「休むと周りに迷惑を掛ける」という認識を改めて、気軽に休みやすい雰囲気作りから始めるべきです。
有給休暇が取れないのは銀行の仕事が忙しすぎるのが原因
銀行が有給休暇を取得しにくかったり、「有給休暇の取得=周りに迷惑を掛ける」という悪しき風潮があるのは、単純に銀行の仕事が忙しいからでもあるんですよね。
最近はマイナス金利や資金調達ツールの多様化で銀行業界の市場規模が縮小していて、以前と比べると銀行の収益環境が厳しくなりつつあります。
ぼくの銀行員時代の話ですが、メガバンクの従業員1万9千人削減の発表があった頃から、これからの銀行の先行きに不安を感じて毎月のように若手の行員が辞めていってました。
収益環境が厳しいうえに従業員が減っているということは、もっと収益を上げるためにもっともっと頑張らないといけないから一人一人の業務量が増えていると考えられます。
辞めていく従業員が多いから、休んだ人の代わりに働いてくれる人員にも余裕がなく、一人休んでしまうだけで周りの負担が一気に増えてしまう。
銀行はだれかが休めば必ず周りに負担がかかってしまう労働環境なので、有給休暇を取りたくても気軽に取りにくいんですよ。
休みたい人が気軽に休むには代わりに働いてくれる人員の余裕が必要ですが、銀行の収益環境は厳しく従業員を多めに採用する余裕はないでしょう。
しかも、いまは人口減少で若い働き手が少なくなっているので従業員を採用すること自体が難しくなっています。
つまり、このまま銀行で働いていてもいきなり有給休暇が取りやすくなるほどの労働環境の改善は期待しにくいのです。
もし、いまあなたが有給休暇を取得しにくい銀行に不満があるのなら、はっきり言って、有給休暇を取得しやすい会社に転職した方が早いですよ。
これからも有給休暇が取れない銀行で働き続けるのか?それとも有給休暇が取りやすいホワイト企業で働くのか?であなたの今後の人生は大きく変わってきます。
今後も銀行で働き続けると、将来家族ができたときに子供と過ごす時間が限られて、いきなりの転勤で単身赴任になって家族が離れ離れになってしまう可能性さえもあるということです。
有給休暇が取りやすいホワイト企業で働けば、大切な家族との時間や自分の趣味の時間も確保できるので人生が圧倒的に充実します。
あなたは今後どのような人生を送りたいか?をいま一度よく考えてみてください。
ぼくは有給休暇が取れない銀行を5年で辞めました
ぼくは有給休暇が取れない銀行を5年で辞めました。
5日間連続の連続休暇、2日間連続の休暇、半日単位で取得できる休暇などは取得してきましたが、本当の有給休暇はインフルエンザでしか消化したことがありません。
ましてや銀行を退職するときでさえほぼ全ての有給休暇を使うことなく辞めました。
いま考えると、有給休暇の取得は労働者の権利なので、上司や同僚から嫌われてでも強引に有給休暇を使えば良かったと本気で思います。
銀行を辞めたいまだからこそ分かるのですが、自分の好きなタイミングで有給休暇を取得できる企業は山ほどあります。
ぶっちゃけると、有給休暇どころか銀行側から取得を推奨されている休暇でさえ取得しにくい銀行の雰囲気はマジで異常だし異質ですよ。
もう本当におかしい…。
ぼくには尊敬する経営者がいるのですが、彼が経営する会社は毎年5月は1ヶ月間丸々休みだと言っていました。
もちろん有給休暇なので1ヶ月間丸々休んでも給料はもらえます。
社長含め従業員はみんな海外にのんびり旅行に行くそうです。
1週間のGWどころか1ヶ月間のGWなんて羨ましすぎですよね。
要するに、銀行以外に目を向けてみれば意外と気軽に有給休暇が取れる企業はたくさんあるってこと。
ずっと銀行で働いていると、銀行の内部に目が向くので気付かないかもしれませんが、いまは昔と違ってホワイトな企業は本当に多いです。
もし、いまのあなたが有給休暇を取得できない銀行に不満を感じているなら、ぼくのように銀行を辞めるという選択肢も考えてみてください。
以下の3つの記事にあなたが銀行を辞める前に必ず読んでおいて欲しい内容を全て詰め込みました。
ぜひこの機会にあわせて読んでみてください。
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